デジタル庁にもAWSやGCP使わせてあげてよ!

デジタル庁が政府機関で共通で使用するクラウドコンピューティングサービス=ガバメントクラウドのサービス提供事業会社として米国のアマゾンとグーグルを選定しました。

もはや泣く子も黙るAWSGCP。中国圏を除きクラウドといえば、AWS、Azure、GCPのほぼ3強です。IBM Cloud? 知らない子ですね……。

世間ではデジタル庁のこの選別に対して、「おかしい」という声が上がっているとの記事がちらほら。デジタルに強い西村ひろゆきさんも新任のデジタル庁の大臣である牧島かれん氏に対して日本のベンダーを選ぶべきだったと暗に主張するような発言をAbemaTVで発言しています。

abema.tv

(1分58秒あたりからのひろゆきさんの質問です)

ひろゆきさんは日本の事業会社を選定することで日本のクラウド事業者を支援することになるので長期的にメリットが大きいと発言しています。

この主張自体が間違っているかと言われれば間違ってはいないのでしょうが、正直日本のクラウド事業者にお金を落とすより世界有数の技術力と資本力を持った大企業に任せた方が費用対効果という意味ではメリットは大きいでしょう。

それに、日本の事業者を選べば、その会社が成長する! と言っていますが、その前提ははてしてどうだか……。政府の公認事業者となって安定したお金の供給源を得られれば、国内事業者は胡坐をかいて何の努力も行わないと思います。だって、AmazonMicrosoftGoogleが提供するサービスと同じクオリティのサービスを作るなんて無理だもん。結局のところ、全く競争力のない企業にお金を与えたところで、その企業は努力をするよりかは楽をした方が儲かることに気が付いてしまうわけです。

民間の企業はみんなAWSを筆頭としたアメリカのクラウドサービスを採用しています。そっちの方が支払うコストに対して高いクオリティのサービスを受けることができるからです。日本の事業者を選定するということは政府が二流のサービスに無意味な投資を続けるということに等しいです。そもそも投資というのは回収する見込みがあるからこそ行うのであって、宝くじを買うように「もしかしたら成功するかも」なんて考えでやるものではありません。

俺は国内の大手SIerが提供している適当なパブリッククラウドに丸投げしなかったことに安心しています。国内のお友達にお金を落とすより海外の巨人にお金を払った方がはるかにコスパがいいです。この件に関して、デジタル庁は常識的な判断をしました。

そもそも、現在のクラウドコンピューティングは単なるデータストレージサービスではなく、豊富なAPIやデータ活用サービスを伴うものです。グローバルな事業で得た莫大な予算をバックグラウンドに豊富なサービスを提供しているAmazonGoogleらに国内の事業者が立ち向かうのは不可能です。インフラというのは結局数の暴力みたいなものですから。でかければでかいほど強いのです。スケールがモノを言うプラットフォーム領域において、デジタル庁がAmazonGoogleを選ぶのも無理はないでしょう。

じゃあ、イノベーションはどうやって起こすの? と言われれば、ソフトウェア領域で起こすしかないでしょう。牧島かれん大臣がイノベーション云々と若干気の抜けた口調で言っていて少し不安を覚えますが、インフラで革命を起こす! なんていう非現実なことを言わないだけましです。

デジタル庁がスタートアップ企業であるならば、まずは巨人の肩に乗っかることが重要です。海外の優れたサービスを使っていって、それらのサービスの良さを土台にしながら、ソフトウェア=アイデアの部分で活躍するしか道は残されていません。データにしろネットワークにしろ、そこはすでに満席です。

ただ、実際にデジタル庁にイノベーションが起こせるかというと……どうなんでしょうか。イノベーションって言葉使う人多いけど、実際どんなことやるのか決まってなければ起こしようもないですよね。でも、イノベーションってまだ誰も知らない技術革新のことだから、すらすら答えられるのもおかしいです。あれ? イノベーションって典型的なバズワードなのでは?

今年の9月から発足したデジタル庁。いきなり大臣交代で不安もりもりですが、役人たちの必死のDXを我々国民は生暖かい目で見守っていきましょう。

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Karen Makishima 20211008.png

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