培養肉の未来 近畿大学は培養マグロ肉の生産研究を行うべきだ!

どうもshigoroxです。

本日、たまたまこんな記事を見かけました。

gigazine.net

記事によると、イスラエルの企業"Future Meat Technologies"が世界初の培養肉生産工場を開設したとのことです。

長らく「研究室」のイメージが強かった培養肉ですが、ついに実用化段階目前です。上記の記事で紹介されているイスラエルの会社は2022年ごろに生産した培養肉をアメリカ向けに販売する計画だそうで、もし輸入することができたら自分も買って食べてみたいなぁなんて思います。

future-meat.com

"Future Meat"社によると培養肉の生産は通常の食肉の生産に比べ、80%も温室効果ガスの排出を抑えられ、使用する土地はたったの1%で済み、4%ぽっちしか水を使用しないで済む、とのことです。要するに、環境にやさしいお肉なわけです。

ただ! 環境にやさしいというのは培養肉の圧倒的な強みではないと思われます。工場で生産するのですから、電力や排水の問題が否応なしに付きまといますし、その証拠に少しネットで探してみるだけで、こんな記事が見つかってしまいます。

培養肉の驚異的な点は「生産管理が容易」であることです。繊維や化学薬品などと同様に、機械的/計画的に食料を生産することができるのです。実物の豚や牛を使用するのであれば、こうはいきません。長年のノウハウがある牧場であれば、多くの牛を見事な肉牛に育て上げ、市場に出荷することができるでしょうが、個体の遺伝的な特性や突発的な怪我などによって、肉牛として売れなくなってしまう牛も出てくるでしょう。牛を育て上げるためには細心の注意が必要ですし、そのためにかかる人手や年月や”お肉”という食べ物の生産効率の悪さを際立たせていました。

工場で生産する肉であれば、その心配はいりません。生産の過程で廃棄となる肉も当然ありますが、その量を予測することは容易です。不確定要素が少ないので、生産に必要なヒューマンリソースも最低限で済むでしょうし、技術の進歩によっては無人化も可能かもしれません。

さらに、衛生管理も従来の牧畜に比べればはるかに楽です。工場の中をきれいにすればよいだけですし、培養肉は生物ではないので、感染症にかかるというリスクもありません。

初めに紹介した記事によると、培養肉生産工場は従来の肉と同じ量を約20倍のスピードで行うことが可能だそうです。大量生産が可能になれば、単位量あたりの生産にかかるコストは減ってくるので価格も安くなります。近い将来、野菜やお米よりお肉のほうが安いなんて時代が来ちゃうかもしれません。

培養肉に挑むスタートアップたち

培養肉は英語では「cultured meat」と呼ばれているらしいですが、「cultured meat」のwikipediaのページを見ると、様々な培養肉に挑むスタートアップの一覧が載せられています。

en.wikipedia.org

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国別でみてみると、最も多いのはアメリカ。……まぁ英語版の記事だし、ベンチャー気質の国だし、ある程度予測できることですが、意外なのはイスラエルの会社が5社も挙げられていることです。

イスラエルといえば軍事技術とセキュリティ関連の技術が有名ですが、食料生産技術にも力を入れているのでしょうか?

調べてみると、ユダヤ教のタブーとして「汚い肉」を食べてはいけないというものがあるみたいですね。具体的には適切に血抜きされていない肉や死んだ野生動物の肉などを食べてはいけないという規則があるらしいです。

ユダヤ教の信徒が全員このような厳格なおきてを守っているかどうかはともかくとして、食べるものに対して「浄」「不浄」を分けるという考え方は、培養肉の開発を後押しする密かな原動力になっているかもしれませんね。同じように培養肉技術のスタートアップが多いシンガポールもきれい好きな国として有名です。

そう考えると、食べ物に関して真っ先に飛びついてきそうな中国がまだこの分野で頭角を現していないのも若干納得いきそうです。あの人たち、なんでも食べますけど、食べるものに特にこだわりはなさそうですから……。

日本からも1社紹介されています。「IntegriCulture,」という会社さんで、培養されたフォアグラの生産を行っているそうです。単価が高く、生産が容易そうということでフォアグラを選んだのでしょう。目の付け所が鋭いです。ただ、ネックとなりそうなのはフォアグラが高級食材であり、高級感を求める消費者が多いであろうこと、味をきちんと再現できるのか、などです。フォアグラの生産環境は劣悪なことで有名ですので、動物保護の観点から売り出せばセレブたちの関心を引けるかもしれません。ちなみにwikipediaの一覧にはフォアグラの培養を目論んでいるスタートアップとして「Foieture project」というベルギーの企業、「Gourmey」というフランスの企業も掲載されています。穴場だと思ったら、意外に激戦区なんですね、フォアグラ。

自分が一番感心したのはエビの培養肉生産を行っているシンガポールの「Shiok Meats」社です。エビか! 需要ありそうだし、培養エビ肉は殻むかないで済むから業務用でも家庭用でも普及しそう。

近畿大学は培養マグロ肉の生産研究を行うべき

さて、いろいろな培養肉の話題について書いてきて、ふと考えました。もし、これから何かの培養肉を作るのであれば、俺は何の肉を培養するだろうか……?

競合はいないほうが望ましいので、できるだけ日本人になじみ深くて、海外の人間が思いつかないような食品が理想です。

考えてみて思いついたのは2つ。「鰻」の培養肉と「マグロ」の培養肉。

鰻は絶滅が危惧されている生物なので、培養肉という形で鰻肉の生産ができれば、種の保存もできるし、鰻も食べ放題だし、一石二鳥です。鰻肉の培養で鰻が安価な食品になれば毎日鰻が食べられて幸せです。高すぎるんだよね、鰻。

ただ、鰻肉の培養の大きな壁となっているのが、鰻のかば焼きという消費形態を想定する場合、鰻の細胞というより全体としての鰻が必要になってしまうということ。

培養肉って形とか作るの難しいだろうから、ミンチにしても食べられるような食品がよいのではと思います。パティとして培養肉を使ったハンバーガーの記事を読んだことありますが、なぜハンバーガーなのかというと塊の肉を作ることが難しいからでしょう。

であれば、マグロは理想的な食材なのでは!? ネギトロとかに使えるじゃん。日本人がよく食べる魚だし、需要の点で問題はありません。それに、魚をあまり食べない海外の人からしてみれば、必死こいて開発するようなものでもありません。培養マグロ肉! なんだかわくわくしてきました。

そして、マグロといえば、近畿大学。養殖マグロの次のステップとして、ぜひ培養マグロ肉の研究してほしいですね。

鮭でもいいな。